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「外貨建て保険」で積立!?まさかリスクが一杯なんて

更新日:

こんにちは
ホン博士です。

「外貨建て保険」って保険屋さんが熱心に勧めてくる事、多くないですか。

「外貨建て保険」とは、皆さんが払う保険料を外貨に換えて運用する保険商品の事です。運用利回り(増える率)が高いので保険屋さんはあなたの為に熱心に勧めてくるのです。だから「外貨建て保険」を積立てと捉える人もいるのです。主に先進諸国であるアメリカドル(米ドル)、オーストラリアドル(豪ドル)商品が多いのではないでしょうか。

保険屋さんが勧めるドル建て保険って魅力的ですよね。先進諸国で通貨の安全性が確保されつつ高利回りと、夢のような商品です。

しかし、多くのFP(ファイナンシャルプランナー)さんは外貨建て保険に警鐘を鳴らしているます。そこにはキチッとした理由があり、選ぶにあたって理解しなければいけない点もあり、総合的な判断が必要となってくるのです。

「運用利回りが高い方がたくさん増えるに決まっているだろう」
そんな声が聞こえてきました。その通りです。

今回は、そんな外貨建て保険のメリット、デメリットや他の普通の保険との違いをお伝えしますね。

絶対に引かれるお金(手数料)について

ここでは2つの言葉の解説をします。必ず覚えておいた方がいい言葉なので最初に持ってきました。

●為替手数料
●付加保険料

為替手数料

「外貨建て保険」を扱う上で必ず念頭に置きたいのが為替手数料です。為替手数料とは「円⇒ドル」、「ドル⇒円」のようにお金を換金する時に必ず掛かる手数料の事です。これは外貨建て保険以外の商品だと掛からない手数料です。外貨建て商品を選んだ瞬間にこの手数料分の損をしているのが分かりますよね。

為替手数料

という事は、「外貨建て保険」を選ぶ際は為替手数料を考慮しても普通の保険より利回り(増える率)のいい商品を選ぶ事が必須となります。この為替手数料に保険屋さんの利益が乗っているとしたらどうです? 保険屋さんは勧める訳ですよね。

圧倒的な高利回りの保険を見つけても、為替手数料と後述する為替リスクの計算が終わるまでは油断は禁物です。利回りがいいと思い保険加入し、いざ保険金を受け取る時に減っていたり、思ったより増えてなかったらガッカリですよね。よーく考える必要があるのではないでしょうか。

為替手数料はいくら?

為替手数料は「行き(円⇒ドル)」と「帰り(ドル⇒円)」に掛かります。
●行き ・・・ 50銭/1ドル
●帰り ・・・ 決まってない
一般的にこんな感じです。

付加保険料

付加保険料とは保険屋さんの経費と考えて下さい。皆さんが払う保険料は「純保険料+付加保険料」で構成されているのです。

保険料の4構成

純保険料とは純粋に保険原資となるお金です。プラスαで付加保険料も含まれているのです。これは仕方ない部分です。例えば、原価50円のチョコレートを50円で売る人は居ないですよね。原価(50円)に利益や経費を上乗せして売るのが当たり前です。これと同じ考え方です。

付加保険料は「外貨建て保険」にも普通の保険にも含まれているお金です。だから、あまり気にする必要はないでしょう。あなたが払っている保険料には付加保険料も含まれているんだ、程度で問題はありません。

※以下の記事に個人年金での積立てについて紹介しています。

⇒ 保険で年金を積立てて節税まで楽しむ方法

保険料の払い方

「外貨建て保険」の保険料は基本的に円で払う事になるでしょう。この際、2つの払い方があります。

●「円」を固定で払う方法
●「ドル」を固定で払う方法

※保険料=毎月納めるお金
※保険金=事故時にもらうお金

「円」を固定で払う方法

毎月決まった額の保険料を払う方法です。「外貨建て保険」以外の一般的な保険はこの方法です。皆さんが知ってるのもこの方法ですよね。

この方法は、払う保険料が定額なので、その時の為替レートで何ドルになるか分からないのです。例えば、200円/1ドルの時と100円/1ドルの時を比較すると100円の時の方が倍貯まります。毎月10,000円の保険料を払う例です。

●10,000円 ⇒ 50ドル(200円/1ドル)
●10,000円 ⇒ 100ドル(100円/1ドル)

ご理解いただけましたか。

「ドル」を固定で払う方法

「円」を固定で払う方法とは逆になります。

例えば、毎月100ドルの保険料を払うと決めたとします。為替レートが、200円/1ドルの時と100円/1ドルの時を例に取ってみます。

●200円/1ドル ⇒ 20,000円(200円×100ドル)
●100円/1ドル ⇒ 10,000円(100円×100ドル)

「外貨建て保険」を検討する際は、こういった事も考えなくてはならないのです。

※以下の記事に個人事業主の積立てについて紹介しています。

⇒ 個人事業主が小規模企業共済で節税をするとこんなにお得

元本割れのリスク

絶対に引かれるお金(手数料)で説明した為替手数料では元本割れまで行かないでしょうが、「為替リスク」は元本割れまで行ってしまうケースもあります。この「為替リスク」が最大のデメリットと言えます。「為替リスク」とは、円⇒ドル、ドル⇒円の際に為替レートの変動によって損をする事です。この「為替リスク」で損をする例を見てみましょう。

条件
行き(円⇒ドル) ・・・ 100円/1ドル
帰り(ドル⇒円) ・・・ 90円/1ドル
100万円を利回り(増える率)10%で運用

行き ・・・ 100万円⇒1万ドル(100円/1ドル)
運用 ・・・ 1万ドル⇒1.1万ドル(10%増えた)
帰り ・・・ 1.1万ドル⇒99万円(90円/1ドル)

※さらに、行き、帰りに為替手数料が必要

このように、1ドルが100円の時に運用(保険加入)を始め10%増えたにもかかわらず、1ドルが90円の時に戻し(保険受取)、100万円が99万円になって損をしてしまいました。

さらに為替手数料が、50銭/1ドル(行き、帰り共)だったとしたら

●1万ドル×0.5銭=5000円(行き)
●1.1万ドル×0.5線=5500円(帰り)

が掛かってしまいます。

恐ろしいですよね。
将来にお金を残す(増やす)為に入った保険でお金が減ってしまってます。ご理解いただけたでしょうか? これが理解できない人は「外貨建て保険」に手を出してはいけません。「外貨建て保険」に入っていい人は、このリスクを理解した上で運用(高利回り)狙いで最終的にご自分の判断できる人です。

結局はFXと同じなのです。FXの場合はレバレッジ(テコの原理)を掛けるので高リスク、高リターンとなります。

FXとは

FXとは、外国為替証拠金取引の事です。簡単に言うと100円/1ドルの時にドルを買い、110円/1ドルの時に買ったドルを売り、その差益で儲ける取引です。そこにレバレッジ(1万円で2万円の取引:2倍)を効かせ、原資の数倍、数10倍の取引が出来るのです。外貨建て保険の場合はレバレッジが効いていないのでリスクは原資(1倍)までですが、FXでレバレッジを効かせている場合は、差損で原資が一瞬で吹っ飛ぶ場合もあるのです。

「外貨建て保険」に入っていいタイミング

前述したように、「外貨建て保険」にはリスクがいっぱいです。それでも「外貨建て保険」に入って原資を増やしたい人はいるはずです。そんな人は今から説明する事をご理解いただければと思います。

前述では為替が、100円/1ドル⇒90円/1ドルと円高に振っていました。

ピンと来ましたか? ここがポイントなのです。

円高局面だと確実に損をします。しかし、逆の円安局面だとどうでしょう。
前述の例を、100円/1ドル⇒110円/1ドル(円安)で計算してみて下さい。

条件
行き(円⇒ドル) ・・・ 100円/1ドル
帰り(ドル⇒円) ・・・ 110円/1ドル
100万円を利回り(増える率)10%で運用

行き ・・・ 100万円⇒1万ドル(100円/1ドル)
運用 ・・・ 1万ドル⇒1.1万ドル(10%増えた)
帰り ・・・ 1.1万ドル⇒121万円(110円/1ドル)

※さらに、行き、帰りに為替手数料が必要

どうですか、21万円も増えてるでしょ(為替手数料除く)!

確実に円安に振るという局面だと「外貨建て保険」という選択はありなのです。理解出来ましたよね。

それでも「外貨建て保険」がいいですか

為替の値動きは誰にも分かりません。

よく正月に経済の専門家が、今年の展望などと言って、ドルはいくらまで上がるでしょう、いくらまで下がるでしょう、なんて予測をしてますが「あの人の言っていた通りだった」となった事はありません。プロ野球の開幕前予想でさへ、元OBの解説者がこぞって外してますよね。非常に複雑な為替の事なんて、我々素人が当てられる訳がないのです。大切なお金をこんなギャンブルに晒す(さらす)のはイヤですよね。未来は誰にも分からないのです。

「外貨建て保険」に入ってもいい人

「外貨建て保険」の様々なリスクを説明してきました。ご理解いただけたでしょうか。ただ「外貨建て保険」を否定している訳ではありません。加入するならリスクは理解しておいた方がいいですよね。そう言った意味です。

しかし、「外貨建て保険」に入ってもいい人もいるのです。なぜなら為替変動のリスクを背負わなくていい人がいるからです。リスクを背負わなくて高利回りがゲットできるなら、かなり魅力的ですよね。それは以下の人です。

●将来外貨が必要な人
●保険金の受取を急がない人

それでは説明しますね。

将来外貨が必要な人

保険金を外貨で受け取れる商品があります。例えば米ドルで運用して将来米ドルで受け取るとします。米ドルで運用した分は確実に増えているので、将来米ドルが必要な人にはマッチしていますよね。

ドルで受取

結局、何がリスクかと言うと、運用して増えたドルを円に戻す時(ドル⇒円)、この時に為替の関係で損をする事です。上図の「ドルで受取る」を選択すると何のリスクも無いですよね。受け取る時に手数料が引かれる程度です。

将来、ドルで受取る事が可能な人(海外移住などでドルを使う人)はマッチする事がわかりましたよね。まぁ殆ど居ないと思いますが。。。

保険金の受取を急がない人

「外貨建て保険」の保険金を受け取るのは、満期時や事故(死亡等)があった時です。

この保険金の受取を「据え置き」できる商品もあるのです。

本来、満期時や事故時にお金が必要だから保険に入るのですが、このタイミングで為替のレートが悪かった場合は「据え置き」し貰わないのです。そして、為替レートが良くなった時に貰うのです。

据え置きレート

ね、リスクが無いでしょ。しかし、このやり方だと為替レートがいつ上がるか分からないので、いつ貰えるか分からないというデメリットはあります。要するに、保険機能(事故があった時に保険金が貰える)は働いていないのです。

このパターンを考えている人は保険に拘らず、別の外貨建て商品を検討してはいかがでしょうか。

本来の保険の役割

「外貨建て保険」について説明してきました。どうしても為替リスクの話や損得の話になってしまいます。しかし、本来の保険の役割って何だと思います? あなたやご家族を守る事ですよね。保険の根幹の話をさせて下さい。

「一人の災難を大勢が分かち、僅か(わずか)の金を捨てて大難を逃れる」 (福沢諭吉)

これが保険の基本的な考え方です。「One for all(一人は皆の為に)」、「All for one(皆は一人の為に)」この精神が保険の成り立ちなのです。あなたが払っている保険料が他の困っている人(病気や死亡)を助けている事もあるのです。

「外貨建て保険」は投資の側面が強く、保険の根幹部分が忘れられがちです。保険の本来の目的は、あなたやご家族を守る事なのに、為替レートや手数料の心配が先に立つっておかしくないですか? 「外貨建て保険」はあなたを狂わす保険かもしれませんね。

ハニ~ワ君
ホン博士、「外貨建て保険」の損得に捉われて
保険本来の役割を忘れていた気がするよ、ボクは失格だね。。。
ハニ~ワ君、「外貨建て保険」を目にすると
誰もが保険本来の目的を見失いがちなのじゃ!

別に「外貨建て保険」が悪い訳ではないのじゃぞ。
様々な側面を理解した上で、保険本来の目的を果たせるなら大いに結構!
しかし、理解できないまま保険加入するのは如何なものじゃろう。

「外貨建て保険」はよーく勉強してからでも遅くないのじゃよ(笑)

ホン博士

まとめ

「外貨建て保険」について理解は深まったでしょうか。

保険本来の目的を果たせて、適切なタイミングで入れるなら何も迷う必要はないでしょう。しかし、浅はかな理解で大切なお金(払った保険料)を失ったらどうですか? 保険本来の目的を果たせてませんよね。あなたとご家族を守るという大切な役割から逸脱してしまては保険加入の意味がありません。よーく考える事が必要なのです。

簡単におさらいしてみましょう。

メリット

●運用利回りが高い
●為替の関係で原資が円ベースで増える事がある

デメリット(&他の保険との違い)

●元本割れのリスクがある
●為替手数料が掛かる
●為替の関係で原資が円ベースで減る事がある
●保険本来の目的を忘れてしまいがち

デメリットに関しては、頭で理解するだけじゃなく、実際に数字を入れて様々な局面をシュミレーションしてみて下さい。見えないリスクが見えてきます。

「外貨建て保険」が特別な保険である事、保険屋さんが「外貨建て保険」を勧める理由、分かってきましたよね。

この記事に書いたような面倒くさい事を勉強している人は、自分サイズの適切な保険選びができています。

「納期のある事はスグやる! 面倒くさい事は今スグやる!」
我が家の家訓です。

最後までお読み頂き
ありがとうございました。

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