こんにちは
ホン博士です。
賃貸マンションを契約する際、保険の種類って考えた事ありますか? 何も考えずに、不動産屋で言われるままに火災保険の契約をしているのではないでしょうか。これって疑問に感じる人がすごく少ないのです。なぜなら、契約時は契約の事で手一杯になり、「保険? 入らなければいけないの? じゃあそれで!」といった感じで、不動産屋が用意した保険に何も考えずに入ってしまうのです。
あなたは家電を買う時、様々な商品を比較検討しますよね。車を買う時も比較検討しますよね。なのに、保険を比較検討しないっておかしくないですか?
大半の不動産屋は保険の代理店になっています。だから親切に、入居時に必須な保険を提案してくれるのです。この保険は不動産屋で入らなければいけないという縛りはありません。自分でネットで比較検討して入る事も可能なのです。不動産屋は必要以上に大きな保険を提案してくる傾向があります。なぜなら、保険に入ってもらう金額に応じて代理店手数料が入るからです。
マンションやアパートやハイツの入居時って思ってた以上にお金が必要になりますよね。保険で節約が出来るなら、そのお金を洗濯機の購入に回す方がよっぽど有益だと思いませんか。
今回は賃貸マンションの契約時に求められる保険についてお勉強してみましょう。
基本は火災保険
マンションの契約時の求められるのは火災保険です。大家さんとしたら、自分が貸した家を燃やされると責任を取ってもらいたいですよね。そんな時に使えるのが火災保険なのです。
最初に確認したいのは、どこまでの保険を求めているかです。火災保険は必ずと言っていい程、義務付けられていますが、更に地震保険まで求められているとか。通常は火災保険までなので、この火災保険の内容を解説します。
入居者が入る火災保険は3人の為に
入居者が入る保険は火災保険です。この火災保険、実は3人の為に補償があるのです。
1、自分の為に(家財)
2、大家さんの為に(借家人賠償責任保険)
3、他の入居者さんの為に(個人賠償責任保険)
あまり考えた事が無かったですよね。しかし賃貸マンションの場合は、3人に対して補償が効いてこそ保険が成り立つのです。よく分からないと思うので、少しずつひも解いてみますね。
1、自分の為に(家財)
賃貸マンションの火災保険は家財保険の事です。火災、落雷、爆発、水害、水漏れから家財が被害を受けた場合が補償対象となります。
自分の不注意で火事を起こして家財が被害を受けた場合は自分の責任ですよね。
じゃあ、隣からの失火(しっか)により被害を受けた場合はどうですか? 「隣の責任」と思いがちですが、実は違うのです。誰の責任でもないのです。だから、自分の保険で自分の家財を守る必要があるのです。
日本には失火責任法(しっかせきにんほう)と言う法律があり「不注意(軽過失)による失火(火事)の場合は損害賠償責任を負わない」となっているのです。結局は、もらい火には自分で備えるしかないのです。
※失火責任法と類焼(もらい火)の詳細は、下記の記事に書かれています。
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2、大家さんの為に(借家人賠償責任保険)
前述したように、失火責任法により不注意(軽過失)により火事を起こした場合は損害賠償責任は負わない、となってましたよね。これは大家さんに対しても同じです。
じゃあ、なぜ大家さんの為に保険に入らないといけないの?
実は、借家人(借りてる人)には原状回復義務があり、退去する場合は原状回復(借りた時の状態に戻す(消耗除く))する義務があるのです。
結局は失火により自分の部屋を燃やしてしまった場合、大家さんに対しては現状回復義務により責任を負うのです。だから、入居時の保険には「借家人賠償責任保険特約」が必要だし、多くの場合で付帯を求められるのです。自分を守る為にも「借家人賠償責任保険」が必要だと言う事はお分かり頂けましたよね。
※不注意(軽過失)の場合は失火責任法により損害賠償責任を負いませんが、重過失の場合は損害賠償責任を負います
詳しくは ⇒ コチラ
3、他の入居者さんの為に(個人賠償責任保険)
これも自分を守る為の保険です。マンション内で個人賠償責任保険を使うケースは主に2つ考えられます。
●火事を起こして隣を焼いた場合
●水漏れで階下に迷惑を掛けた場合
1つずつ見て行きましょう!
火事を起こして隣を焼いた場合
失火責任法により、不注意(軽過失)により火事を起こした場合は隣に対して損害賠償責任を負わない事は前述しました。
火事の原因には2つのパターンがあり、重過失の場合はそうじゃないのです。
重過失とは、重大な過失の事で「ちょっと考えれば甚大な被害が防げたのに、それを見過ごしたような状態」の事です。例えば 寝タバコ 天ぷら油 暖房器具 からの出火などが当たります。
この重過失の場合ですが、自分の部屋から火が燃え広がり、隣を焼いてしまった場合は損害賠償責任を負う事はご理解いただけましたよね。
じゃあ、どうするの?
そこで登場するのが「個人賠償責任保険」なのです。
「個人賠償責任保険」は火災保険の場合は特約となります。この「個人賠償責任保険」は、他の保険(車の保険等)やクレジットカードに付帯されているケースがあるので一度確認してみて下さい。同じ保険にダブってお金を払うのは避けたいところですよね。
また、個人賠償責任保険は1億円を限度に設定しておけば、かなり安心です。1000万円程度の場合もあるので、限度額はよーく確認したいところです。
水漏れで階下に迷惑を掛けた場合
例えば洗濯機のホースが外れた状態で排水をしてしまい、階下の人に迷惑を掛けた場合はどうでしょう? 階下の人は被った被害の損害請求をしてきますよね。そう言った場合に「個人賠償責任保険」に入っていると安心です。
「個人賠償責任保険」は日常生活で他人の物を壊してしまったり、偶然の事故で他人をケガさせた時など、法律上の賠償責任を負う時に役立つ保険です。金銭的なサポートだけではなく、相手の人との示談交渉まで引き受けてくれる保険会社もあるので、自分に最適な保険を選びたいものです。
火災保険の参考例
保険料/年 | 家財 | 借家人(大家) | 個人賠償(他人) | |
---|---|---|---|---|
日新火災 | 4,000円 | 100万円 | 2,000万円 | 1億円 |
アイアル | 5,400円 | 300万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
あそしあ | 4,900円 | 103万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
ジャパン | 7,600円 | 300万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
階下の人と揉めた場合、最悪「どちらかが引っ越し」まで発展する事もあるのじゃよ。
賃貸マンションの「地震保険」
賃貸マンションの場合、地震による建物の補償は考える必要はありません。なぜなら持ち主の大家さんが考える事だからです。
じゃあ、地震保険は要らないね!
そうとも限らないのです。どんな時に役立つかと言うと、火災保険では補償されない時に役立つのです。
●地震
●噴火
●津波による火災、流失、埋没
による家財の損害を補償してくれるのです。
※地震保険は火災保険の上乗せ保険です、単独では入れません。
実はこの地震保険、万能な保険ではないのです。
補償限度額が火災保険の30%~50%しか設定できないのです。??? なぜかと言うと、地震保険の目的は「被災後の当面の生活を支える」というコンセプトの元、出来た保険だからです。建て替えが目的ではないのです。以下が被災時に貰える保険金額の算出例です。
火災保険:200万円に設定
地震保険:50%(100万円)に設定
↓ ↓ ↓
保険金額:最大で100万円
上記、保険金額のところに「最大で」の部分が太字になってます。なぜでしょうか? 必ず100万円貰える訳ではないからです。
●全損時:100%
●大半損時:60%
●小半損時:30%
●一部損時:5%
これが「地震保険」が万能じゃない理由です。
ちなみにこの地震保険、損害保険料算出機構のホームページによると、火災保険の新規契約者の内6割以上の人が加入しています(2007年:約45%、2016年:約62%)。東日本大震災を始めとする大地震に備えようと、年々加入率が増加しているのですね。
まとめ
賃貸マンション(アパート、ハイツ)の保険の事はご理解いただけたでしょうか?
火災保険(家財保険)が基本で、3人の為に保険に入る事(自分、大家さん、マンション内の人)が必要でしたよね。その役割を果たす借家人賠償責任保険(大家さんの為)、個人賠償責任保険(マンション内の人の為)と言った特約がありました。
各保険会社の料金、保険内容の比較表もありました。
地震保険の話もありました。地震保険は火災保険の50%までしか設定出来ない事、家の壊れ具合(全損、大半損、小半損、一部損)により保険金額(貰えるお金)が決まる事、「おまもり」だと言う事。
最後に、賃貸マンションの保険は不動産屋が持ってくる保険に入るのが一般的ですが、自分で選んで入ってもいいと言う事も分かりましたよね。
ハッキリ言って、不動産屋で保険に入るのが一番らくです。しかし、この記事を読んだあなたはそれがベストじゃないと言う事を知りました。自分サイズの適切な保険を手に入れている人は、この面倒な事をしているのです。
「納期のある事はスグやる! 面倒くさい事は今スグやる!」
我が家の家訓です。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。