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マンションの保険の種類、何を基準に選びますか?(管理組合編)

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こんにちは
ホン博士です。

分譲マンションや賃貸マンションに住んでいる人は自分で火災保険に入っていますよね。自分で入る保険は自分の部屋(専有部分)が補償範囲だと言う事は皆さんご存知かと思います。じゃあ、共用部分の保険はどうなってるの? 普段、気にする事のない部分ですが、知っておいた方がいいのではないでしょうか。

共用部分の保険に入るのはマンションの管理組合です(賃貸の場合は大家さん)。自分のマンションの管理組合がどんな保険に入っているかって気になりません。と言うか、知っておいた方がいいです。なぜなら自分にマンションの役員が回ってきた時に役立つからです。

管理組合が入る保険の保険料は住民が毎月納める管理費から出ています。と言う事は、あなたのお金で保険に入っているという事です。そのお金の使い道(どんな保険)を知らないと言うのはどうですか?

もし、必要な補償に足りない保険にしか入っていなくて(保険金額が小さすぎる、保険範囲が狭すぎる)、事故が起こってしまったらどうなります? もしかしたら原状回復(元に戻す)の為、住民に金銭的な負担が掛かるかもしれませんよね。そんな事が起こる前に、自分のマンションの保険を確認してみてはいかがでしょうか。

この記事では管理組合が入る、マンションの共用部分の保険についてお勉強ができます。

保険金請求の期間は3年間

事故があった場合、保険金は請求をしないと絶対に貰えません。時効は3年です。あなたの管理組合はしっかりしているので、事故が起こった場合、ちゃんと保険金請求をすると思います。しかし万が一、保険対象なのにそれを知らなかった場合、保険金請求は出来ませんよね。その状態で3年が過ぎるとどうですか、時効で貰えるはずの保険金が貰えなくなりますよね。

前述したように、管理組合が納める保険料はあなたのお金です。時効で保険金が貰えないってどうですか。嫌ですよね。面倒ですが、あなたもマンションの保険について知っておいた方がいいと思いませんか。

時効(3年)

管理組合が入るのは「共用部分」

マンションには専有部分と共用部分があります。専有部分とは自分の室内の事です。共用部分とはエントランス、廊下、階段等の皆が共用で使う部分を指します。しかし、一般の常識で理解しにくい部分もあるのです。下図をご覧ください。

専有共用

玄関ポーチとベランダですが、専有部分、共用部分どちらだと思いますか? 実は共用部分なのです。

えっ、ベランダは専有部分じゃないの?

はい、違います。ベランダは消防法の元、住民の避難通路と定められているのです。その証拠として、ベランダの隣との仕切りにはこのように書かれています。

「非常の際はここを破って、隣戸へ避難して下さい(この付近に物を置かないで下さい)」

でも普通ベランダには物干し竿やエアコンの室外機等、何かしら置いていますよね。それがOKなのは専用使用権があるからです。専用使用権はありますが、最優先すべきは住民の避難通路という事です。

玄関ポーチも同様で、基本的には物は置かないのが好ましいです。

管理組合が入る保険は共用部分になります。

火災保険

火災保険ですが、管理組合が入る火災保険と区分所有者が入る火災保険では目的物が違います。

●管理組合 : 建物、付属設備、付属施設
●区分所有者 : 建物、家財

管理組合は共用部分の補償を担っているので、付属設備や付属施設が保険の対象となっています。

火災保険では一般的に、火災、落雷、破裂、爆発、雹災(ひょうさい)、水漏れ、物体の落下、飛来、衝突等が補償対象となっています。

見落としがちなのが、臨時費用、残存物取り片付け費用、水漏れ調査費用等の特約です。特約が付いているにも関わらず、事故時に特約分を請求しないと、何の為に特約を付けてるか分かりませんよね。特約の内容はしっかり把握しておいて、事故時にはキッチリ請求できれば保険の有効活用が出来ますよね。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、マンションの共用部分(建物、設備、施設)の欠陥や管理不行き届きが原因で住民や通行人に迷惑を掛け、管理組合に賠償責任が発生した場合に使える保険の事です。

例えば、マンションの外壁が一部が剥がれ落ちて通行人に当たってケガをさせた場合、マンションの管理組合に賠償責任が発生します。こんな時に使える保険ですね。

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険に関しては、確実に管理組合に確認したい事があります。それは、管理組合で個人賠償責任保険に入っているかです。この個人賠償責任保険、実は個人で入っても、管理組合で入っても、どちらでもOKなのです。そして、ダブって入っていたとしても、事故時には一方からしか保険金は貰えないのです。

と言う事は、管理組合が個人賠償責任保険に入っていれば区分所有者は入る必要がないのです。
と言う事は、個人で入る保険料が節約できるのです。

ねっ、ポイントでしょ(笑)

しかし、場合によっては個人で入っておいた方がいい時もあります。なぜなら、管理組合の保険を使って保険金を請求する場合、管理組合経由になるので、自分の失態(例えば水漏れを起こして階下の人に迷惑を掛けた等)が筒抜けになりますよね。

そこら辺は自分の考えに応じて、臨機応変に取り組む必要があります。ただし、管理組合が個人賠償責任保険に入っているかは確認しておきたいですよね。

分譲マンションの個人賠償責任保険等については、以下の記事に詳しく書かれています。

保険の種類
マンションの保険の種類、何を基準に選びますか?(購入編)

こんにちは ホン博士です。 マンションを購入する際、保険の種類について考えている人は少ないのではないでしょうか。なぜなら購入価格、頭金、住宅ローン、諸費用等に頭がまわり、保険の事は見落としがちなのです ...

地震保険

地震保険は火災保険の上乗せ的な存在です。地震保険だけの単独契約は出来ないのです。東日本大震災以降、地震保険の付保率は目に見えて増えてきています。個人契約ベースでは、損害保険料算出機構のサイトによると、火災保険の新規契約者の内6割が加入しています(2007年:約45%、2016年:約62%)。

しかし、この地震保険、万能な保険とは言えないのです。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください、管理組合が入る場合も考え方は同じです。

保険の種類
マンションの保険の種類、何を基準に選びますか?(賃貸編)

こんにちは ホン博士です。 賃貸マンションを契約する際、保険の種類って考えた事ありますか? 何も考えずに、不動産屋で言われるままに火災保険の契約をしているのではないでしょうか。これって疑問に感じる人が ...

地震保険

マンション総合保険

長々と解説してきましたが、真打の登場です。この「マンション総合保険」、前述した火災保険、施設賠償責任保険、個人賠償責任保険、地震保険、これらをひっくるめて入れるのです。しかも内容も幅広くカスタマイズ出来るので、色々入るよりこれ一本にして窓口を一本化すれば管理組合としては手間の軽減が出来ます。

代表的なところは

損保ジャパン日本興亜

です。

損保ジャパン日本興亜だと、管理組合向けに防災診断や防災・減炎セミナーを行ってくれます(共に有料)。
防災診断を行う事で、事前に考えられる被災を回避できる可能性があるので、管理組合、保険会社ともにWinWinなのです。
さらに、防災・減炎セミナーを行う事で、住民の防災意識が高まり、こちらも住民、管理組合、保険会社ともにWinWinWinなのです。

有料とはなりますが、災害への先行投資として防災意識を高めるには最適ですよね。

大規模修繕瑕疵保険

大規模修繕瑕疵保険(だいきぼしゅうぜんかしほけん)とは、マンションの外壁塗り替え等の大規模修繕工事をした場合、工事後に瑕疵(不具合)があった場合に修補費用(しゅうほひよう)を賄える保険です。

大規模修繕瑕疵保険は特殊は保険で、国土交通省が許可した「検査付き保険制度」なのです。

この保険は管理組合が入るのではなく、施工業者が入る保険です(保険金を貰えるのは施工業者)。施工業者が入るなら管理組合は関係ないのでは? 実は管理組合にもメリットがあるのです。それは「施工品質の確保」です。

施工業者は管理組合に対して瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を負っています。

瑕疵担保責任とは

瑕疵担保責任とは「瑕疵(不具合)があった場合に責任を持って直さなければならない」と言う責任を負っている事です。

しかし、瑕疵(不具合)があっても対応しない施工業者がいます。保証期間内に倒産して業者自体が居ない場合もあります。そんな時に大規模修繕瑕疵保険に入っていると安心なのです。

じゃあ、なぜ施工業者は瑕疵対応したがらないのでしょうか?

瑕疵を直すにはお金がかかりますよね、と言う事は施工業者としたら瑕疵対応は少しでも避けて通りたい訳です。瑕疵を避ける為に「施工をしっかりする」という方針ならいいのですが、施工業者は相見積もりにより利益の確保が難しくなっています。と言う事は、現場の施工を安く済まそうとします。それは、材料であったり工期であったり職人の質であったり。。。

しかし、大規模修繕瑕疵保険に加入していると、瑕疵発生時に保険法人から施工業者に保険金(修補費用)が支払われるのです。

どこの施工業者も相見積もりの際「うちは施工には自信がありますよ」と必ず言います。大規模修繕瑕疵保険に入ってもらうと、第三者(保険法人)の現場検査があります。そこで一定の品質が保てていないと検査には合格しません。しかも現場検査を行うのは建築士の資格を持った検査員です。

管理組合からしたら、建築のプロ(建築士)に検査をしてもらえると安心ですよね。

しかも、この大規模修繕瑕疵保険、保証期間中に施工会社が倒産等で居なくなった場合瑕疵対応しない場合は、管理組合が保険法人に直接申請すると保険法人が修補費用(直す為のお金)を払ってくれるのです。管理組合としたら、とても安心ですよね。

だから、相見積もりの際、大規模修繕瑕疵保険を付ける事を条件にすれば、最安値の施工業者に決めたとしても「品質の確保」が期待できるのです。

ほとんど知られていない保険ですが、管理組合側からしたらメリットがあるでしょ!

まとめ

この記事は管理組合目線で書かせて頂きました。でも住民も知っておいて損はない内容になっています。マンションに住むと隣人をの関係は希薄になりがちで、自分の事ばかり考えてしまいます。しかし、あなたの子供さんがマンションの共用部分で何か落下する物に当たりケガをさせられたらどうですか? 管理組合に言いに行きますよね。この時、管理組合が十分な補償の付いた保険い入っていなかったらどうでしょう。

ご自分の家族を守る為にも、管理組合がどんな保険に入っているかをチェックしておく事は大切なのです。

そして、いつかは回ってくる役員になった時、あなたのご家族とマンションの住民を救う為にも、管理組合向けの保険の勉強も必要ですよね。前述したように、管理組合が入る保険はあなたのお金なのです(管理費を払ってますよね)。ムダな保険や足りない保険には入りたくないですよね。

分譲マンションの場合、施工会社と管理会社が繋がっている事が多々あります。そしてどちらかが保険の代理店になっている場合も多々あります。誰かがチェックしておかないと好き放題される場合もあるのです。

ハッキリ言って、管理組合が入る保険の事を考えるのは面倒くさい事です。しかし、誰かがやらないと皆の大切なお金が有効活用できないかもしれないのです。

「納期のある事はスグやる! 面倒くさい事は今スグやる!」
我が家の家訓です。

最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

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