こんにちは
ホン博士です。
マンションを購入する際、保険の種類について考えている人は少ないのではないでしょうか。なぜなら購入価格、頭金、住宅ローン、諸費用等に頭がまわり、保険の事は見落としがちなのです。
マンションの保険の種類とは、火災保険、地震保険、水災保険、団体信用保険などが挙げられますが、実際は不動産屋に提案された保険に入っているだけの人が非常に多いです。実際、私もマンション購入時に、何の保険かよく分からないまま不動産屋さんが用意してくれた保険に入っていました。しかし落ち着いて見直すと、無くても大丈夫かな、という部分もあったので更新の際には内容をカスタマイズしました。
マンションの保険の種類を知る事で、保険料を安く抑えられたり、本当は不必要な保険だったりと言った事が分かってきます。そして、マンションの保険は一律にこの保険がいい、とかではなく地域や環境によって必要な内容が変わってきます。例えば10階に住んでる人には水災(浸水)の心配なんて無いですよね。
このように、自分のお住まいに最適な保険選びには保険の内容の把握が必要なのです。面倒ですが、保険証券(保険の内容を書いた証書)を一度読んでみてはいかがでしょうか。
専有部分と共用部分
今回は「購入編」と言う事で、分譲マンション目線の記事になります。分譲マンションで入る保険と言うのは、管理組合が入るマンション全体の保険、区分所有者(マンションの持ち主)が入る専有部分の保険とに分かれます。今回はこの専有部分の保険になります。ここで専有部分と共用部分の区分けをしてみましょう。
区分所有者が入る保険は専有部分です。
この図のどこが専有部分で、どこが共用部分か分かりますか?
①、ポーチ(専有)、ベランダ(専有)
②、ポーチ(共用)、ベランダ(共用)
③、ポーチ(共用)、ベランダ(専有)
※ポーチ:玄関の前の外部分
順番に行きますね。
廊下(共用)、部屋(専有)これは皆さんが考えている通りです。問題はポーチとベランダです。普通に考えると、どちらも区分所有者の専有部分ですよね。しか~し、答えは一番納得のいかない②なのです。なぜならポーチとベランダは「専用使用権付共用部分」だからです。
専用使用権付共用部分
ポーチとベランダが共用部分なんて納得いかないですよね。しかし、ポーチとベランダには専用使用権が与えられているのです。それでも共用部分というのは納得いかなくないですか。なぜ、共用部分となるのかを説明します。
消防法で、マンションのベランダは住民の避難経路と決まっているからです。私のマンションのベランダの、隣との仕切りにはこのように書かれています
「非常の際はここを破って、隣戸へ避難して下さい(この付近に物を置かないで下さい)」
このように、ベランダは避難経路としての用途が最優先なのです。しかし、避難経路としてしか使えないのも殺生(せっしょう)なので専用使用権が与えられているのです。ご理解いただけましたか。
ポーチに関しても同じで、非常時に逃げる(玄関から外に出る)時に物が置いてあり、それが玄関を塞いでしまうと逃げれないですよね。
区分所有者(購入した人)が入る保険は、ポーチ、ベランダ、廊下等の共用部分を除いた専有部分になります。
火災保険
区分所有者(購入した人)が入る保険が分かったところで
具体的にいきますね。
分譲マンションの火災保険を語る上で外せないワードが2つあります。
●「類焼損害補償特約(るいしょう)」
●「個人賠償責任保険」
火災保険の役割は、火災によって生じる損害をサポートする事です。
①、寝タバコやコンロの消し忘れが原因で火災を起こしたとします。火災保険の出番ですよね。このケースは自分に責任がある場合です。
②、逆に、隣の家が火事になり燃え広がってきた場合はどうでしょう。これも火災保険の出番です。
③、さらに逆に、自分の責任で隣の家を燃やしてしまった場合はどうなると思います? 火災保険の出番だと思いますよね、しかし分譲マンションの火災保険は使えないのです。なぜなら分譲マンションの火災保険は、銀行さん目線で作られていて資産の保全が最優先なのです。分かり易く言うと、火事が起こっても担保物(自分の部屋)が燃えなければいいのです(住宅ローンを組む場合、マンションに抵当権が設定される為)。
隣を燃やした場合、隣の人の火災保険は使えないの? 隣の人は自分の火災保険を使えます。でも道義的に気が引けますよね。さらに隣の人が火災保険の更新を忘れてたりしたらアウトです。
じゃあ、どうすればいいの?
ここで登場するのが「類焼損害補償特約」と「個人賠償責任保険」なのです。
類焼とは
「類焼損害補償特約」
「類焼損害補償特約」は自分が起こした火事が原因で隣の人に迷惑を掛けた時に役立つ特約です。ここポイントです⇒「自分が起こした火事が隣に類焼した時、実は先火責任法により、法律上は自分(火元)には責任が無い」のです。とはいえ、隣の人は怒りますよね。前述したように隣の人が火災保険に入っていなければアウトです。そんな時、隣の人に使えるのが「類焼損害補償特約」なのです。この特約はぜひ付けておきたいですよね。
失火責任法とは
「個人賠償責任保険」
失火責任法と言う法律により「軽過失の場合は賠償責任を負わない」と言う事は分かりましたよね。じゃあ重過失の場合は? この場合は賠償責任を負うのです。だから「個人賠償責任保険」なのです。
重過失とは
※軽過失の場合は賠償責任を負わないので「個人賠償責任保険」の対象ではありません。
このように、「類焼損害補償特約」と「個人賠償責任保険」を絡める事で分譲マンションの火災保険は万全になるのと言う事が分かりましたね。
〇重過失 ⇒ 個人外商責任保険で対応
※火災保険の補償範囲は
●火災による損害
●破裂や爆発による損害
●台風や大雪による損害
●雷による損害
が一般的です。
地震保険
火災保険の次は地震保険です。
地震保険を検討する際に、不動産屋や管理組合に確認して頂きたい事があります。それはマンションの耐震等級についてです。なぜなら、耐震等級によって保険料の割引があるからです。どうせなら保険料は安い方がいいですよね。
※地震保険は単独での契約が出来ず、火災保険の上乗せという立ち位置です
耐震等級による保険料の割引
耐震等級は1~3まであり、
●耐震等級1:建築基準法の基準を満たすレベル(建てていい最低レベル)
●耐震等級2:等級1の1.25倍の強さ
●耐震等級3または免振建築物:等級1の1.5倍の強さ
と定められています。
そしてそして割引は
〇耐震等級1:10%
〇耐震等級2:30%
〇耐震等級3:50%
かなり大きな割引ですよね。
免振建築物とは
どこで入っても料金は同じ
実は地震保険、どこで入っても保険料は同じなのです。なぜなら「地震保険に関する法律」の元、政府と損害保険会社が共同で運営をしているのです。勝手な保険料は設定できないルールになっているのです。考える事が1つ減りましたね。
しかし、地域によって保険料の違いは出てきます。地震の多い地域と少ない地域で同じ保険料だと成り立たないですよね。イメージ的には、自動車保険で事故を多く起こす人は保険料が高くなる、と言ったところです。
保険料率は地域と建物の構造で決まり、損害保険料率算出機構のホームページに「地震保険基準料率表」があり、各都道府県の地震料率が見れます。ご自分の地域が地震保険料が高いのか安いのかの目安になりますね。
地震保険の補償範囲
地震保険の役割は大きく分けて3つです。
●地震
●噴火
●津波による火災、損壊、埋没、流失
ここでポイントとなるのは、津波による火災です。これは火災保険で補償されると思われがちですが、実は×なのです。津波による火災は地震保険での対応になるのです。自然の猛威に打ち勝つには地震保険があって万全と言えるでしょう。
じゃあ一体、地震や噴火や津波の際、何が補償されるのでしょうか?
正解は「建物」と「家財」です。家財に関しては、30万円を超える貴金属、商品券、預貯金証明、自動車等は免責(対象外)となります。30万円以上の物は保管方法を考えた方が良さそうですね。
そして、もう1つルールがあるのです。火災保険の上乗せ、と言う話は前述しました。火災保険がポイントなのです。地震保険の保険金額は、火災保険の30%~50%と決まっているのです。
「えーっ、全額補償してよ!」こんな声が聞こえてきました。
じゃあ理由をお話します。地震保険とは「被災後の当面の生活を支える」と言うのがコンセプト(考え)なのです。建て替え目的ではないのです。被災者としたら、家の建て替えを考えますよね。しかし、全額もらえるように設計してしまうと我々が払う保険料が高騰してしまうのです。地震の場合、失火(普通の火事)による火災より広範囲の被災が考えられます。その為、補償は広く(多くの人)浅く(上限50%)となってしまっているのです。「おまもり」のような存在ですね。
火災保険:1000万円に設定
地震保険:50%に設定
↓ ↓ ↓
保険金額:最大で500万円
上の算出例で気になる箇所が1つあります。保険金額に「最大で」という言葉が付いています。なぜでしょう? 実は、保険金は気前よく払ってはくれないのです。このようになっています。
●全損:保険金額の100%(上の場合500万円)
●大半損:保険金額の60%
●小半損:保険金額の30%
●一部損:保険金額の5%
大震災後のニュースを見ていると憤りを感じます。全損の認定はなかなか下りないからです。報道の映像から、我々の素人目では「それは全損でしょ」と思うような被災状況でも全損認定が貰えてないからです。被災者を助けるような判定基準を導入して欲しいものですよね。
被災時の写真は強力な証拠
分譲マンションには共用部分と専有部分があります。共用部分は管理組合で保険に入っているでしょう。あなたが入るのは購入した専有部分です。この専有部分が被災した場合、スマホ等で必ず写真を撮りまくりましょう。なぜなら、それは保険請求の際、強力な証拠になるからです。ゴミ等の撤去前の一番悲惨な状況がいいでしょう。心情としては、悲惨な状況を写真に収めるのは非常に辛いでしょうが、その後の自分の生活を支える為(保険金を貰う為)です。
水関係の補償
水関係の補償は3つあります。水災補償、水漏れ補償、個人賠償責任保険。マンションの水関係と言うと大雨や台風などの水害と、上層階からの水漏れがあります。1つずつ行きましょう。
水災補償
火災保険の特約で付けるのが一般的で、台風や大雨による床下以上浸水、洪水による土砂災害などが対象となります。昔は一律に付いていた補償ですが、最近では外して保険料を安くしているケースが目立ちます。ハザードマップを活用しているからです。
上記サイトから、自分の町のマップを選択し、洪水や土砂災害や津波などのリスク情報を確認する事が出来るのです。私も自分の町を見ましたが「なるほどー、ここが危ないのか」って感じでしたよ。
マンションの場合だと、近くに河川が無かったり、海抜が高かったり、高層階なら水害の危険性は低いですよね。こういった判断基準で保険料を節約する事も出来るのです。
水漏れ補償
これも火災保険の特約です。
例えば上層階から水漏れが発生し、あなたの家財に被害が出たとします。まず確認するのはこの水漏れの責任の所在です。共有部分からなら責任の所在は管理組合ですよね。これが上の階の人だったとします。直接 or 管理組合経由で上の人に言いますよね。上の人が責任を取ってくれればいいのですが、責任を取らない(取れない)場合もあります。
ここで登場するのが水漏れ補償です。
簡単に言うと、自分の保険(水漏れ補償)で直すのです。優先すべきは被害からの復旧なので、ひとまず自分の保険で直してしまうのです。濡れたままだと生活に支障をきたしますよね。上の人との話が長引きそうな時には有効な手段です。
個人賠償責任保険
上層階からの水漏れで上の階の人が個人賠償責任保険に入っていたとします。この場合は上の人の保険(個人賠償責任保険)で直してもらえばいいのです。逆に自分が下の階の人に迷惑を掛けた場合(下に水を漏らした場合)、個人賠償責任保険に入っていれば安心ですよね。
個人賠償責任保険は広範囲に使え、例えば前述した火災保険で自分の重過失で他人に迷惑を掛けた場合も使えます。その他、自転車で人にケガをさせたり、買い物中に商品を壊したりと賠償責任を負う場合が対象なので、かなり広範囲に使えそうですよね。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは団信(だんしん)と言われるものです。住宅ローンを借りる際に金利に上乗せ(勝手に入らされてる)されてる事が一般的です。だから知らない間に入っているケースが殆どです。この団信は住宅ローン支払い中に死亡や高度障害に陥った場合に、ローンの支払いを肩代わりしてくれる保険です。金融機関、ローン支払い者共にリスクヘッジ(危険を回避)になり、お互いWinWinの保険なのです。
フラット35などの政府系金融機関では任意加入ですが、銀行さんの住宅ローンだと強制加入が一般的です。どの程度の料金かと言うと、金利上乗せ(0.2%程度)です。住宅ローンの期間や金額によって変わってきそうですね。
※このサイトには皆さまに役立つ為に全力で書いた記事が他にもあります。是非ご覧ください。
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サイトマップ
まとめ
分譲マンションの保険って難しいですよね。
●自分を被害(被災)から守る事
●他人に迷惑を掛けた時の事
分譲マンションの保険選びには
この2つを同時に満たす事が必要になってきます。
分譲マンションって、隣人との関係が希薄になりがちです。そこに、隣人に迷惑を掛けてしまったりしたら、更に気まずくなりませんか? こういった精神的な不安を解消するのが保険なのです。保険を万全にする事で最悪のケースに対処できるかもしれませんよね。
分譲マンションの保険って、購入時に一括で10年とかで入っているケースが大半です。なかなか見直す場面が無いのです。だから、今見直しが必要なのです。どこに有るか分からない保険証券を探して、内容を解読していって、、、ハッキリ言って、すごく面倒くさい事です。
でもね、この面倒くさい作業をした人は自分に最適な保険を選べているのです。「やる or やらない」だけの差なのです。スーパーで、少しでも安い野菜を探して買うより金額的なインパクトは大きいですよ。
「納期のある事はスグやる! 面倒くさい事は今スグやる!」
我が家の家訓です。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。