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持病がある人の保険

高齢者や持病のある人でも保険は入れます

更新日:

こんにちは
ホン博士です。

高齢者や持病のある人は、保険に入る事を諦めてはいないでしょうか。

高齢者である事や持病がある事をハンデと考え、保険屋さんと話しをする前に自分で扉を閉ざしているケースが多いのです。

しかし、実際に高齢者や持病のある人でも保険に入って闘病の際、保険金を受け取っているのです。だから、入れる場合は保険加入しておいた方がいいのです。

保険加入する事で、自分が安心できたり、家族が安心してくれたり、様々な精神的不安を取り払ってくれるのです。

今回は、高齢者や持病のある人という少し難しい分野の保険についてお勉強してみましょう。

保険の仕組み

高齢者の保険について知りたい方、持病がある人の保険について知りたい方、面倒ですが最初に保険の仕組みについて知る事がこれから入る保険選びの第一歩となります。

結論から言います。
高齢者の保険、持病がある人の保険は通常より高いです。こんな事を言われると差別や偏見だと思う方もいるかもしれません。しかし、それは事実なのです。その理由は保険制度の仕組みがそうさせているのです。保険制度の根幹となっている考え方をお伝えします。

「一人の災難を大勢が分かち、僅か(わずか)の金を捨てて大難を逃れる」 (福沢諭吉)

福沢諭吉さんのお言葉なのですが、これが保険制度の根幹の考え方です。「One For All , All For All」(一人は皆の為に、皆は一人の為に)って事です。例えば自動車保険を考えて下さい。事故を起こして保険を使うと翌年は等級が下がり保険料(払うお金)が上がりますよね。保険会社は事故を起こした人は事故率(保険金を支払う確率)が高いと判断し、その人からより多くの保険料を貰うのです。

※保険料(保険に入っている人が保険会社に払うお金)
※保険金(保険会社が事故が起こった場合に保険に入っている人に払うお金)

もう少し分かり易く図解します。

保険料のイメージ
上の入れ物にそれぞれ「保険料を入れて、保険金を出す」と考えて下さい。出るお金(保険金)が多いと入れるお金(保険料)が沢山いりますよね。これは、保険金の総額(保険会社が支払う額)と保険料の総額(保険に入る人が納める額)が同じになるという「収支相当の原則」と言います。

「通常の保険」の場合は基本的に健康な人が入っているので事故率は低くなるでしょう(仮に500人に1人、保険金が必要とします)。同じように事故率(保険金を払う確率)「高齢者の保険」(100人に1人、保険金が必要)、「持病の保険」(50人に1人、保険金が必要)になったとします。1回に払った保険金は同じとします。事故率は

●通常の保険(0.2%)
●高齢者の保険(1%)
●持病の保険(2%)

となります。1回に払う保険金は同じなので事故率が高い方が1人の加入者から多くの保険料を貰わないと成り立たないですよね。上の例だと「持病の保険(2%)」は「通常の保険(0.2%)」の10倍の保険料が必要になります。これが「高齢者の保険」、「持病の保険」が保険料が「通常の保険」より高くなる理由です。

さらに、保険料はこのように構成されています。

保険料の4構成大きく分けると「純保険料」、「付加保険料」になります。

●純保険料  ・・・ 保険会社が将来の保険金の支払いに備える財源。
●付加保険料 ・・・ 保険会社の人件費、広告費等のいわゆる経費。

付加保険料に関しては保険会社の企業努力で圧縮する事は可能でしょう。しかし、純保険料を圧縮する事は可能でしょうか。純保険料を圧縮する方法は「保険金の支払い基準を厳しくする(なかなか保険が下りない)」、「保険加入のハードルを上げる(高齢者、持病の人が保険加入しにくくなる)」等が考えられます。それだと保険に入っている意味がなくなりますよね。だから「高齢者の保険」、「持病の保険」は保険料が高くなってしまうのです。

こういった事情で「高齢者の保険」、「持病の保険」の保険料は高いのです。差別や偏見ではなく保険制度の仕組みがそうさせているのです。

保険会社は「高齢者の保険」や「持病の保険」を扱っています。それと同時に「通常の保険」も扱っています。「通常の保険」の加入者に不利益が起こらないように「高齢者の保険」や「持病の保険」を別枠にしているという側面もあるのです。

ここからは「高齢者の保険」、「持病の保険」に入る際に知っておきたい知識をお伝えします。

高齢者の保険

高齢者の保険を選ぶ前に、公的な医療制度の存在をご存知でしょうか。高齢者の保険を選ぶ際、この公的な医療制度でどれだけサポート(お金が貰える)されているかを理解する事が大事なのです。なぜなら、高齢者の保険料は若い方より確実に割高になっています。だから、公的な医療制度でどれだけサポート(お金が貰える)されるかを知ってから保険選びを始めるのが良いのです。

高齢者の公的の医療制度は大きく分けて2つあります。

●前期高齢者医療制度
●後期高齢者医療制度

高齢者

前期高齢者医療制度

前期高齢者とは65歳~74歳の人を言います。前期高齢者の医療費負担は65歳~69歳が一般の会社員等と同じ3割負担です。そして、70歳~74歳の方は保険証の他に「国民健康保険高齢受給者証」というのが交付され、医療機関に保険証と同時に提示すれば自己負担額は2割になります。

民間の保険を検討する場合は、この公的な医療制度(前期高齢者医療制度)を踏まえた上での検討が必要になります。

1か月の自己負担限度額は69歳までは現役世代と同じですが、70歳~74歳の方は限度額は低く抑えられてますので、全国健康保険協会のホームページで確認できます。

この前期高齢者医療制度の65歳~69歳は会社員や自営業者が入る健康保険と同じ枠組み内にあり、この年代の方が増えると年金問題と同じで現役世代の負担が増えてくるかもしれませんね。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は75歳~の方が対象となります。この制度は前期高齢者が加入する健康保険や国民健康保険とは別の独立した枠組みになります。健康保険だと配偶者(扶養者)は負担なしに健康保険に入れていますよね。しかし、後期高齢者医療制度は別の枠組みなので、75歳に達した時点で配偶者が75歳未満なら別で国民健康保険料を支払わなければいけなくなります。

後期高齢者医療制度は医療機関での自己負担額は1割になります(現役世代並みの方は3割)。1か月の自己負担限度額は57,600円です(高額所得者除く)。下のイメージ図を見て下さい。

医療費イメージ

このイメージ図は医療費の総額が100万円掛かった場合の図ですが、見てお解りの通り、1か月の自己負担限度額は57,600円なのです。民間の保険への加入を検討する場合は、この事を知った上での検討が必要なのです。


 

ハニ~ワ君
ホン博士、高齢者の公的な医療制度は良く分かったよ!
ホン博士
過剰に心配する必要がない事が分かったじゃろ
ハニ~ワ君
そうだね、1か月に57,600円の負担が上限なら何とかなりそうだね
ハニ~ワ君
毎月57,600円の負担に耐えられる人は民間の保険は必要ないんじゃないの?
ホン博士
ハニーワ君、そうとも限らんのじゃぞ!公的制度ではカバー出来ない差額ベット代、食費、タクシー代等、予想もしない出費がかさむのが現実なのじゃ
ハニ~ワ君
そうだね、備えあれば憂いなしだね。じゃあ次は持病の保険について教えてよ!

持病のある人の保険の考え方

私はFP(ファイナンシャルプランナー)なので持病があっても保険に入れる事を知っていますが、もし知識が無ければ保険加入を諦めているでしょうね。「持病があれば保険に入れない」と勝手に考えてしまい保険屋さんの扉を叩く事もないでしょう。実際に持病がある方で保険加入を諦めている人は多いのではないでしょうか。

しかし、最近では「通常の保険」の他に「引受基準緩和型・限定告知型」や「無告知型・無選択型」という保険も発売されていて持病のある方にも大きく扉を開けてくれているのです。

持病の保険の種類

ここで改めて考えてみますが、持病って何でしょう?

1、なかなか治らず常に、または時々起こる病気
2、身について直らない悪い癖
参照:デジタル大辞泉

説明は具体的ではありませんが、風邪、腹痛、頭痛のように一時的な類ではないものを持病と言います。持病かどうかの判断は自分でせず、保険加入の際に保険屋さんに自分の状態を正確に伝えるのがよいでしょう。何故なら症状を隠せば保険加入は出来るでしょうが、保険に入る目的は自分に病気等があった時に保険金を貰い闘病する事です。告知義務違反(伝えるべき事を伝えていない)や虚偽告知(ウソを伝えている)で加入した保険は いざという時 保険金は貰えないので自分の状態は正確に伝えるべきなのです。

持病がある方でも自分の状態を正確に伝えて、正々堂々と保険加入して安心を買う事で希望を持った生活を送る事ができるのです。ここで持病がある方の保険の考え方について見て行きましょう。

「通常の保険」を考える

持病があるからと言って、自分から負い目を感じハードルを下げる必要はありません。「通常の保険」を最初に検討してもいいのです。なぜなら、通常の保険は後述する2つの保険より保険料が安いからです。自分の状態を正確に伝え、正々堂々と「通常の保険」に入れればベストです。

場合によっては条件付き加入になる事もあります。

●割増保険料:持病があると事故率が高い為、通常より保険料を高く設定される。
●特定部位・疾病不担保:持病や既往症(病歴)に絡む部位や病気を対象から外す。
●削減期間:一定期間は病気やケガの保証がない(保険料を払いつつ待機)。

こういった条件下で「通常の保険」に入る事が可能な場合があります。ここで「こんな不利な条件で、頭を下げてまで入りたくない」と考えるのではないでしょうか。しかし、それでも後述の2つの保険より手厚い可能性が高いので比較のテーブルに上げる事を推奨します。削減期間(一定の期間は保証が無い)を設けられる場合は、その期間だけ後述の保険に入るのもありです。

「引受基準緩和型・限定告知型」を考える

読んで字のごとく、保険引き受けの基準を緩和(ゆるく)していたり、告知事項(保険に入る時に聞かれる事)が少なかったりしている保険の事です。簡単に言うと「通常の保険」より入り易い保険です。保険会社はこの保険についてこう考えています「引受基準を低くすると事故率が高くなるので保険料を高く設定しよう」。「通常の保険」より保険料が高いのです。だから、この保険は「通常の保険」に入れなかった時に考える保険なのです。

保険会社が持病を持っている人を「通常の保険」で引き受けた事例を見るとこんな傾向があります。「生活習慣で改善できる症状なら通常の保険で引き受けてもいいのでは」。
高血圧、高脂血症、痛風などでも「通常の保険」に入れた例もあるので、保険屋さんには正直に相談して下さい。そして引受基準も各社違うので、1社ではなく複数社に相談して下さい。

保険会社は引受基準緩和型・限定告知型の保険金増加のリスクヘッジ(危機を回避する方法)として、1年間は入院や手術の保証を半分にしている場合が多々あります。引受基準緩和型・限定告知型の保険で保険料が割安の場合はこのパターンが殆どなのでよく確認して下さい。

次に確認して頂きたいのが、告知内容です。この告知内容は各社ほぼ同じ内容です。基本的に全て「いいえ」に該当する事が前提です。オリックス生命保険の「新キュア・サポート」という商品を例に挙げてみます。

①、3か月以内に医師から入院・手術・検査のいずれかをすすめられたことがありますか。または現在入院中ですか。

②、3か月以内にがんまたは上皮内新生物・慢性肝炎・肝硬変で医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことはありますか。

③、過去2年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。

④、過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物で入院をしたこと、または手術をうけたことはりますか。

参照:オリックス生命保険「新キュア・サポート」

この商品の場合は上記4つの告知事項があり、全て「いいえ」となる事が引受の必須条件です。ポイントとなるのは

●現在入院中かどうか
●3か月以内に医師から入院・手術・検査を勧められたか
●過去2年以内に、病気やケガで入院、手術を受けた事はあるか
●過去5年以内に、ガンで入院、手術を受けた事はあるか

です。
※この商品も「1年以内は保証が半分」になっているパターンです。

「無告知型・無選択型」を考える

加入者側からの視点で「無告知型・無選択型」のメリットはほぼ誰でも入れる事です。そしてデメリットは保険料が高く、保証内容が悪い事です。前述の「引受基準緩和型・限定告知型」の場合は1年間保証が半分のケースがあるとお伝えしました。この「無告知型・無選択型」では一定期間、保証なし のケースもあるのです。一番条件の悪い保険です。保険に入る緊急性が無い場合、自分の症状に改善の余地がある場合は「無告知型・無選択型」を選択せず、症状が改善してから「引受基準緩和型・限定告知型」や「通常の保険」に加入するというのも選択肢に入れてはいかがでしょうか。

保険屋さんとの正しい接し方

私も自分の保険の事で保険屋さんと話しをしますが、最近は昔と違い「うまく言って高額な保険に入らそう」という保険屋さんはほぼ淘汰されたというのが印象です。ただ隣のお客さんの話が聞こえて来ると、用語解説から行っています。それでもいいのですが、人は長い時間は集中できないので、肝心な話の時にはダレています。保険屋さんと有益な話をする為には、このサイトや他のサイト、書籍等で保険の大筋(大きな流れ)は知っておいた方が話の核心を深く理解できるでしょう。

保険屋さんと話しをする前に以下の3つの事を知っておくと、よりスムーズに話が出来ます。

●本当の事を全て伝える
●出せるものは出す
●再審査も出来る

本当の事を全て伝える

保険加入の際は告知書にてあなたの事を聞かれます。そこには本当の事を全て記載するのが基本です。中には自分に不利な事(本当の事)は隠しておいた方がいいのでは、と考える人もいるでしょう。しかし、前述したように事故(病気やケガ)が起こった際に保険金(貰うお金)が下りない場合もあります。

次に告知書の全て記載についてですが、例えばあなたが審査側の人だとして空欄があった場合はどう考えますか。リスクヘッジ(危機を回避する方法)として最悪のケースを想定するのではないでしょうか。保険会社の審査の人もそのように考えるのです。伝えれる事は全て伝えるのが告知書を作成する際の基本となります。

そして、自分にとって有利と思われる点は遠慮せずに伝えるのがよいでしょう。例えば車を査定に出す際、あなたはどうします?タイヤ、アルミホイールは交換済み、カーナビは最新を付けている、ボディーコーティングはバッチリ。査定の際にアピールしたいですよね、査定が高くなるかもしれませんよね。これと同じです。自分にとって有利な事は存分にアピールするべきです。

告知書

出せるものは出す

先程の車の査定と同じです。点検記録簿、カーナビの説明書、ETCの説明書、ドライブレコーダーの説明書、あれば査定が有利になりますよね。保険加入の際も告知書の他に添付書類として健康診断書があれば有利です。過去分もあれば連続性の確認できるのでさらに有利になるかもしれませんね。そして、持病が完治している場合は医師の診断書があれば、あなたが口頭で伝えるより説得力が増すでしょう。

「審査する人目線」で、何が欲しいかを考えれば有利に運べるかもしれませんね。

再審査も出来る

審査に落ちても新たな添付書類を付ける事や、状態の改善を伝える事で再審査も可能です。住宅ローンの審査と似てますよね。本人の年収だけで厳しい場合は何かを担保にしたり、勤続年数が足りない場合は足りる状態になってから再審査をお願いするとか。

そこら辺は保険屋さんと相談しながら事を進めるのがよいでしょう。FP(ファイナンシャルプランナー)にも得手不得手があるので、仕事の出来るFPに当たるまで頑張るのも一つの作戦です。病気でもセカンドオピニオンという言葉があるように、そこは遠慮せずに頑張って下さい。

まとめ

高齢者や持病のある人の保険について書いてきました、いかがでしょうか。福沢諭吉さんのお言葉にもあったように「一人の災難を大勢が分かち、僅か(わずか)の金を捨てて大難を逃れる」というのが保険の根幹の考え方です。あなたが保険加入する事で「災難を受けている一人を人を助けている」と言う事は理解できますよね。その結果としてあなたが助けて貰う側になるかもしれませんが、基本は困っている人を助ける事だと思ってみては如何でしょう。

大半の人は保険加入の際、「自分目線」でしか考えません。しかし前述したように、告知書を提出する際は「審査をする人目線」、保険加入の際は「困っている人目線」で考える事で保険の本質が見えてきます。

この記事に書いたよな面倒な事をしている人は、他の人より有利な保険に入れてます。

「納期のある事はスグやる! 面倒くさい事は今スグやる!」
我が家の家訓です。

最後までお読み頂き
ありがとうございました。

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